「天の川、楫の音聞こゆ、彦星と織女と、今夜逢ふらしも」
はじめまして。kawabata farmの河端です。
もうすぐ七夕ですね。上の歌は万葉集記載の柿本人麻呂が詠んだもので、「天の川にかじ(舵)の音が聞こえる。彦星と織女は、今夜逢うようだ」という意味だそうです。このように、七夕はロマンチックな一面をもつ、古くから親しまれていた行事でありました。
しかし、元々は農耕儀礼の性格が強いものだったようです。
さて、私の住む日野地区では、秋の収穫を祝うために、獅子舞が奉納されてきました。私自身、小学生の時に初めて演舞し、現在も活動に参加しています。今回はこの日野獅子舞についてご紹介いたします。
まず、その歴史について、伝承によると、弘法大師への信仰に基づき、阿波の金比羅に参詣し、その地元の方々と親交を重ね、人形芝居と共に、獅子舞を習得し、天授三年(1377年)の正月に日野春日の宮で奉納されたと言われています。そのことから、「六斎念仏獅子」(踊念仏を提唱した空也の信仰に影響される)とも呼ばれ、また、古来から「五穀豊穣」「無病息災」「子孫繁栄」「悪霊払い」などの願いを獅子に託し、自然に立ち向かう力強さを求めたものであると言われています。
次に、その特徴としましては、「あばれ獅子」と言われてきた程、激しい頭捌き(かしらさばき)があり、床几(しょうぎ)と呼ばれる台の上を動き回ります。また、六つの舞から構成されております。以下に記します。
| 巣垣の舞・・・舞台の邪悪を取り払う(露払い)の役割を果たす、この後に続く舞のために巣を張る如く、入念に舞台を確かめて踊る舞。
| 乱曲の舞・・・「無病息災」「悪霊払い」などの人の心の弱さを獅子に託して力強く生きるという願いを込めた、乱れ舞。
| 床几の舞・・・村の若者の身体を鍛え上げると共に、その勇気を培う、曲芸的な舞。
| 花の舞・・・「五穀豊穣」を祈念し、また祝って、その喜びと感謝を獅子に託して舞う、華麗で気品のある舞。
| 地巣籠りの舞・・・狐や火男が登場し、おかしみや笑いを繰り出す、「子孫繁栄」を願った舞。
| 風の舞・・・日本の素晴らしい四季を表す、古くから受け継いだ技を結集し、平成21年に創作された、女性の舞。
最後に、演舞する日と場所についてですが、
秋祭り春日宵宮と題し、「日野コミュニティーセンターみのでホール」において、10月10日(金)の夜に行われます。また、翌日秋祭りの10月11日(土)午前に、高向神社 秋季例大祭にて奉納致します。
ツクツクボウシの鳴き声が聞こえる頃、練習が始まり、金木犀の香りと共に、月夜には笛と太鼓の音が日野地区に響き渡ります。そして、祭りの頃には稲穂が秋晴れの空に映え、そこにはそれぞれの想いをもった獅子が舞い踊ります。
日野獅子舞は、この地に根ざし、豊かな自然に育まれ、今日まで伝承されてきました。
秋祭りの日には、ぜひお越しください!!
参考文献:
万葉集 第十巻
六斎念仏/フリー百科事典wikipedia
日野獅子舞保存会(編・発行)1992年『日野獅子舞』
日野獅子舞保存会(編・発行)2011年『日野獅子舞』
河内長野市役所 (編・発行)1983年『河内長野市史』第9巻
広報かわちながの(編・発行)2004年『わがまち文化財探訪』