対談 奥河内音絵巻2019「水とじいちゃん」

昨年の秋、奥河内音絵巻4作品目となる『LUCKY for YOU!』(2018)は チケットが早々にソールドアウト!2年連続で完売した人気公演の5作品目は、来る2019年9/15(日)に開催が決定した。

 

「今年は何が起こるのか!」「どんな奥河内を描くのか!?」が注目される新作の情報がいよいよリリース。芸術監督を務めるサキタハヂメ氏、『LUCKY for YOU!』で観る人を魅了した光の切り絵作家の酒井敦美さん、新キャストにNHK Eテレ『シャキーン!』のイラストレーターとしてもお馴染のいぬんこさんを迎えて制作を開始。気になる2019年奥河内音絵巻の新作『水とじいちゃん』について3人にお話をお伺いした。

 

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—-すごいですね。3作品目『木と奏でる人々の歌』(2017)は大ホールが満席に。昨年の 『LUCKY for YOU!』は小ホール3回公演が完売!前売りから売れ行きもよくて。今年はどうなるの?!と楽しみにしている方も多いと思うのですが、今年は大ホールで「水とおじいちゃん」ですか?

 

サキタ氏:『水とじいちゃん』です。「お」いらん(笑)。 奥河内の人とか自然とか、いろんなものから影響を受けて、浮かんだ音や絵を紡いで作り上げてきた「奥河内音絵巻」(以下、音絵巻)。今年ももちろん奥河内の美しさを表現するのですが、それだけじゃなくてちょっと笑かすというか…面白い方にもっていきたいな、と。

 

で、美しい自然と掛け合わすテーマとしてふと浮かんだのが「じいちゃん」。河内長野ってどこを歩いてもじいちゃん達に会うじゃないですか。いろんなタイプの。みんな、なんか可笑しくて可愛くって。じーーっと観察してしまう。

 

それに、じいちゃん達って何かとエラそうに言うくせに、ばあちゃん達に比べてちょっと弱いじゃないですか(笑)。そんな風に考えてたらなんかやっぱり可笑しくなってきて。一回ガッツリ、じいちゃん達の人生を題材に作ってみようと。昨年、 天野山金剛寺さんの落慶法要と『LUCKY for YOU!』で、幻想的な光の世界を創り出してくれた酒井さんとまた一緒に。

 

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酒井氏:はい。昨年は奥河内の景色やみなさんに出会って、神秘的な奥河内を知りました。おだやかでやさしくてパワフルな大阪は知っていましたが、私の中でまたひとつ大阪の魅力が増えました。

 

サキタ氏:もう一人はイラストレーターのいぬんこさん。音絵巻1作品目に素晴らしい切り絵で参加してくださったチャンキー松本さんの奥さんで、もう20年以上の親友です。 いぬちゃんって呼んでます。僕が音楽を担当している NHK Eテレの朝の番 組『シャキーン!』のメインイラストを描かれている方です。可笑しみと切なさを深く表現する人はこの人しかいない!と思って、満を持して声を掛けました。

 

いぬんこ氏:はい、奥河内音絵巻は、夫のチャンキー松本が絵を担当した時や実際何度か観て感動していたので、光栄です!

 

サキタ氏:河内長野はやっぱり美しい水が印象的。美しい滝や自然、四季をがっつり酒井さんに描いてもらおうと。その美しい水の風景と、河内長野のじいちゃんたちの人生をかけ合わせてみたらどうなるかな?って思ってたら、光滝の上でじいちゃんが微笑んでる(笑)という絵が浮かんできて、それをいぬちゃんに伝えたら、こう仕上がって来ました(笑)。

 

いぬんこ氏:唐突すぎるシチュエーションですが、光や愛を込めて描きました(笑)

 

サキタ氏:シンガポールのマーライオンや、バリ島のヒンズー教の、水を吐き出す愛くるしい石像にも影響を受けていて。でも、じいちゃんは別に「水の妖精」とか「神様」ではないんですよ。普通の人たちです。日本中どんどん高齢化が進んでいくなかで、河内長野に暮らしていそうなじいちゃんの、当たり前の飾らない日常の風景を春夏秋冬にそれぞれに描きます。

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※登場するじいちゃん達は、奥河内にホントに実在しそうですがフィクションです。

 

春は、元会社員の山本春夫さん(右)
夏は、農家の森下茂さん(中右)
秋は、だんじり長老の秋山徹さん(左)
冬は、喫茶店マスターの井上佳雪さん(中左)

 

じいちゃん達のテーマは、「流れるように生きてきた」。 奥河内をふらっと歩くだけで出会て、「いた!」とついニコっと微笑んでしまう。そんな風になったら面白いな、と。

 

酒井さんが描く「美しい水の奥河内」 と 、いぬちゃんが描く「じいちゃん達の日常」を 交互に登場させ、それぞれをリンクさせながら、最終的には時間の流れが愛しく思えるようになったらいいなと考えています。うーん、口で説明するのん、難しいわ(笑)。もう、観に来てもらわんと!

 

いぬんこ氏:サキタさんが話してくれる「奥河内」には、いつも驚きと感動があります。しかも年を追うごとに愛情と深みが増していて、そこに、私とサキタさんの志向する「滑稽と哀愁」な世界観をうまくのせていけたらいいな〜・・・と、足したり引いたりしなが ら・・・頑張っているところです!

 

酒井氏:私もサキタさんがよく話される「面白がる」を、一緒に体感させてもらってます。作品づくりも、人との出会いも、きっと生き方も。真剣に向き合ってこそ面白い、面白いことに真剣になる!って感じかな。いつもワクワクさせてもらってますよ。

 

サキタ氏:いぬちゃんとは一緒に仕事していると、とにかく面白いんです。 可笑しいねんけど、暖かさ、切なさがある。じいちゃん達 の日常を可笑しく愛おしく描いてもらうに はこの人しかいない。酒井さんは自然がその場にあるように、いやそれよりもっと愛おしく 感じられるような世界を見せてくれるんです。

 

—-おじいちゃんの可笑しみと哀愁を描けるいぬんこさんと、愛おしい自然を投影できる酒井さんなんですね。

 

サキタ氏:そうなんです。クスっとしつつも、幻想的で。今までシリーズを観続けてくれている方にも新たに面白がってもらえると思うし、初めての方にも、絶対楽しんでもらえるので、何も考えずに観に来てもらいたいです。で、僕達音楽家は、じいちゃんや自然のチカラへの応援と感謝の意味を込めて、演奏します!今年はかなりカッコいいですよ。メンバーはお馴染みの「山を鳴らすAll Stars」と、地域の方を主軸に50人以上の楽団で、奥河内サウンドを紡いでいきます。 ラブリーホールのミュージカルの子ども達と伝統音楽教室やのこぎり音楽教室のメンバー、 それに地元で大人気の和太鼓 響さん、加えて今年は天見地区から祇園囃子の方達も参加してくださることになりました。蟹井神社の提灯行列が幻想的で、一度共演してみたくて、お声がけしたら快諾してくださって。みんなで作っていきますよ。

 

—-天見地区はじいちゃん宝庫では?

 

サキタ氏:そう(笑)! この方々が今回の絵本から飛び出して来るんだと思うと、なんだかワクワクします(笑)。この前、祇園囃子の練習会にお邪魔した時も、みんなほろ酔いで最高だっ(笑)

 

—-毎年お話しを聞かせてもらってて思うんですが、「何が起こるかは、観にいかんとわからん」のが音絵巻だったりしますよね。

 

サキタ氏:ホントそう(笑)「何かわからんけど、面白そう!!」で、「観に行ったらすごく素敵だった。また観たい!」っていうの、良くないですか?
ぜひ一緒に可笑しみながら、楽しんでもらえたら嬉しいです。2度と同じ事はやれないので。ぜひ毎年!

 

プロフィール

 

サキタハヂメ[芸術監督・音楽家]

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堺市出身、河内長野が面白くなり移住。ミュージカルソー(のこぎり)奏者で、作曲家として活躍し、NHK Eテレ「シャキーン!」日本テレビ「妖怪人間ベム」など、全国放送のTV番組で多数の楽曲を提供。芸術監督として総指揮をとる「奥河内音絵巻」は5年目を迎え、地域を面白がる創作を続けている。

 

 

いぬんこ[絵描き・絵本作家] 

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東大阪市出身、京都の美大で学び印刷会社OLを経て、現在東京在住。Eテレ「シャキーン!」イラスト担当。著書に「おかめ列車」「おちゃわんかぞく」(作:林木林)など。夫のチャンキー松本とアトリエ「青空亭」としてイベントなどにも参加。

 

 

酒井敦美[光の切り絵作家]

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愛知県出身・在住。“切り絵”を、“光”を透して表現するオリジナル作品を、「光の切り絵」と名付け、制作と発表を続けている。光の切り絵の中には、一枚の切り絵が2場面に変化する、「一画二驚(いちがにきょう)」や、あらゆる空間に切り絵を投影する「幻灯空間」などがあり、様々な表情の光の切り絵を制作している。

 

 

 

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